2018年5月2日
Core i3-350M搭載、RAM4GB、HDD500GBという、2010年夏モデルのPC(dynabook EX/56MWH)に、最新のWindows 10 1803とUbuntu 18.04LTSを入れて、遊んでみた。どちらも問題が噴出したので、メインマシンでのアップグレードは少し待ったほうがよさそうだ。Ubuntuのほうが軽くて快適な印象だった。
8年前のPCにWindows 10 1803(64bit Homeエディション)を入れてみた。インストールに4時間近くかかった上に、トラブルが頻発した。なお、PCメーカーは、この機種に対してはWindows 10をサポートしていない。
試したPCは、Windows 10 (1709 64bit版 Home)と、LinuxディストリビューションUbuntu 17.10(desktop 64bit版)のデュアルブートにしていた。
まずは、インストール済みのWindows 10 1709を最新の1803にアップグレードすることにした。
Windowsの1803へのアップグレードは、メディア作成ツールをダウンロードし、USBメモリのインストールメディアを作って実施した。
インストールメディアは、順調に作成できた。次に、USBメモリのセットアップファイルを実行して、アップグレードに移った。
インストールは、とにかく遅い。メディアのサイズが4GB以上あり、容量が多いこともあるが、8年間使ってきたハードディスクへのインストールなので、やたらとディスクへのアクセスに時間がかかっているようにも見える。
2時間以上待つと、ようやくリブートした。
Ubuntu (Linux)とのデュアルブート環境にしている都合上、ブート直後に放置すると、Ubuntuが起動するので、Windowsのアップグレードは中断してしまう。手動で操作して、Windowsを選択してブートさせると、インストールの続きを実行できる。これが、けっこう面倒だ。
OS選択の優先順位を、アップグレードの間だけでもWindowsが先になるように変更しておいたほうがよかったかもしれない。
その後、数回リブートを繰り返し、アップグレードが終わったときには、日付が変わっていた。
4時間以上かかった。
アップグレード後のWindows 10は、以前と見た目はほぼ変わらず、ふつうに動作しているように見える。
テキストエディタやブラウザなどのアプリケーションは、これまで通り起動し、動作する。
しかし、使っているうちに、数多くの異常現象が発生した。
まず、一太郎2014で、縦書きの文章を書いてみたところ、句読点やかっこなどの文字が、間違って表示された。縦書きと横書きでは、「、」や「。」、「ー(伸ばし棒)」などは、違うふうに表示する必要があるのだが、本来縦書き用の表示をすべき文字が、横書き用のフォントで表示されてしまい、おかしくなっているようだ。
文字の表示がまともにできないOSというのは、困ったものだ。
Word 2010でも縦書きを試してみたが、こちらも一太郎と同じように、異常な表示になってしまった。
アプリのせいではなく、OSがおかしいと考えざるを得ない。
文章をまともに編集できない感じだったので、あまり実用性があるようには思えなかった。
今回アップグレードしたPCは、既に引退済みの機体なので、この程度の不具合では実害はないが、業務や趣味で普段から使っているPCだったら、とても困ったことだろう。
OSのアップグレードは、慎重にするに越したことはないと痛感する。
次に、Firefoxの最新版を使って、Youtubeの動画を見たが、再生開始から数分程度で、OSごとクラッシュしてしまった。
マウス操作も、キーボード操作も全く受け付けない。ブルースクリーンにすら移らない。完全にフリーズした感じだ。
電源ボタンを長押ししたところ、電源が切れた。
しばらく待って、もう一度電源を入れると、Windows 10を起動することができた。
起動には数分かかる。インストールサイズが4GBを超えていただけに、とても大きなOSなのだろう。起動後も、HDDへのアクセスが数十分にわたり、ぶっ通しで続くので、アプリの起動をはじめとした動作が遅くなる。なんとかしてほしいところだ。
先ほどのクラッシュの原因を考えてみたが、おそらくは、グラフィックドライバが関係している。
ドライバの作成日が2012年となっており、Windows 10が出るよりもずいぶんと前から、更新されていない。
Windows 10は、古いドライバでも動作するはずなのだが、古いPCへのサポートを切り捨てたのだろうか。
こんなわけで、動画再生には使えないことが分かった。
なお、Youtubeのクラッシュは、1709版のWindows 10でも起きているので、1803版固有の現象ではない。
dynabookには、[Fn]キーと、[F6]または[F7]キーを同時に押すことで、画面のバックライトを調整する機能があるが、Windows 10 1803では機能しなかった。
メーカーがサポートを打ち切っているため、ドライバが提供されていないのだろう。
夜は、画面がまぶしくて困る。
PCメーカーがサポートを打ち切っていることもあり、このPCで快適にWindows 10を使うことは、期待できそうにない。
このようなPCに対して、執拗にWindows 10へのアップデートを促す表示を行ったマイクロソフトは、いったい何なんだろうかと思わずにはいられない。
ただし、縦書きの問題はPCの古さによらない問題だと思うので、OSのアップデートで改善できる可能性が残っている。今後アップデートできれば、事務用途のPCに復活する期待はあると思う。
なお、以前のバージョンと比べ、具体的によくなったと思われる点は、少し触っただけでは見当たらなかった。
Ubuntu 18.04LTSは、インストーラが未完成な仕上がりで、インストールに苦労した。動作は比較的軽快で、Youtubeの再生は快適だったが、ローカルで動画再生を行うとフリーズすることもあった。
デュアルブートのもうひとつのOSであるUbuntuも、最新版の18.04LTSが出たばかりなので、デスクトップ版(64bit)をインストールした。
アップグレードによるインストールは、まだ提供されていないとのことなので、ホームディレクトリを別マシンにバックアップした上で、以前の区画をフォーマットしなおして、クリーンインストールすることにした。
USBメモリに用意した、インストールメディアからPCを起動すると、お試し版のUbuntuがほどなくして起動した。
ここから、インストール機能を選んで、HDDへのインストールができる。
ところがどっこい、HDDの区画を設定する部分で、困ったことが発生した。
ウインドウが、液晶画面の大きさ(1366x768ピクセル)を大きくはみ出して表示されており、「インストール」「戻る」などのボタンが見当たらないのだ。
これでは、先へ進めない。ウインドウのリサイズは不許可だし、ウインドウをどう移動させても、ボタンは表示できそうにない。
他のサイトで、ウインドウのデザインを確かめたところ、ALTキーと「I」を同時に押せば、インストールボタンを押したことにできることが分かった。
キーボードをそのように操作したところ、なんとか次の画面に移った。まったくもう・・・。
以後も、スクリーンからはみ出して表示され、ボタンをクリックできない画面が頻発した。
TABキーを何度か押して、適当にエンターキーを押したところ、次の画面に進むこともあれば、手前の画面に戻ることもあった。
画面からはみ出ている部分に、「戻る」「進む」などのボタンが配置されていたのだろう。
そうして、文字通り手探りの状況でなんとか、インストールに成功したのだった。
インストーラは、どう考えてもまだ未完成だ。日本語リミックス版ができる頃には、何か新しくなっていたらなあと思わずにはいられない。
紆余曲折はしたが、インストールにかけた時間は1時間弱くらいだった。
インストール後、一度リブートすると、新しいUbuntuを使いはじめることができた。
FirefoxブラウザでYoutubeを見たところ、順調に再生できた。
アイチューブ 再生リストで「ミュージックビデオ」を選択すると、記事作成時点で119本の動画を次々と再生できるのだが、119本全てを再生しても、クラッシュすることはなかった。
dアニメストアにログインすると、月額課金の会員向け動画を含め、ふつうに再生できた。
素直に動作しているので、古いPCを、動画再生機として割りきって使うには、いいかもしれない。
「動画」(totem)で、スマホに入っていた動画ファイルを再生したら、フリーズしてマウスもキーボードも操作不能になった。
画面表示が乱れた状態でフリーズしている。
ドライバがおかしいのだろうか?
別途VLCのアプリを入れて、その動画を再度再生してみたが、やはりフリーズした。
アプリだけの問題ではなく、UbuntuのOSか、ドライバに問題があるのだろう。
Core i3-350Mのドライバは、フリーのものを使っているはずなので、まだバージョンアップされるチャンスはあるが、古いチップに対して今後解決策が提供されるかは、よく分からない。
ちなみに、フリーズの原因となった動画ファイルを、Firefoxで直接開いて再生したら、問題なく再生できた。OS以外にも、アプリに由来する問題があることを思わせる挙動だ。
ちなみに2、今回のフリーズでは、キーボードやマウスは使えなくなったが、ネットワーク越しにログインして使うことはできた。ssh経由でログインして、リブートコマンドを実行すると、なんとか再起動できた。
起動にかかる時間は、電源が入ってからデスクトップが表示されるまでで1分10秒くらいだった。電源投入からFirefoxの画面が開くまでの時間としては、1分30秒くらいだった。Windows 10 1803よりも、だいぶ速い。起動後速やかにHDDへのアクセスが止まるので、HDDが長持ちしそうな気がする。
Ubuntu 18.04LTSには、最初からオフィススイートLibreOfficeがインストールされている。
ワープロ機能を使って、縦書きの文章作成を試してみた。「、」や「。」などは、きちんと縦書きとしての表示となっており、間違いはない。
ただし、かぎかっこの表示位置が、ややずれているようにも見える。全体として、表示のバランスに違和感があるのだ。
このあたりは、改善の余地があると思うので、今後のバージョンアップを期待するしかないだろう。
横書きに関しては、違和感はとくになく、自然な感じだった。
LibreOfficeは、動作がスムーズで、ストレスを感じさせないソフトだ。複雑な使い方をしないのであれば、WordやExcelよりも、軽くて便利なソフトだと思う。
[Fn]キーと[F6][F7]キーを使った、キーボード操作による輝度調整は、問題なく動作した。これで、夜もPCを快適に使えそうだ。
Ubuntu 18.04LTSは、インストールが難しい。インストールに成功すれば、Youtubeの再生や、LibreOfficeでの文章作成などに、それなりに実用的に使えると思う。
インストーラや、動画再生でのクラッシュなどの問題があるので、今別のバージョンのLinuxを使っているのであれば、しばらく待ったほうがいいと思う。
やはり、Ubuntuも、出たばかりのものに飛びつくと、大きなリスクを背負うことになることが分かった。
なお、Ubuntu 17.10と比べると、デスクトップ画面そのものに、大きな違いはなかった。ただし、LibreOfficeなどのアプリケーションは、新しいものが用意されているので、より便利になったと思う。
8年前のCore i3-350M搭載機で、Windows 10 1803と、Ubuntu 18.04LTSを比べると、Youtubeを見たり、文章を書いたりする上では、Ubuntu 18.04LTSのほうが扱いやすく感じた。起動が速く、Youtubeでクラッシュすることもなく、LibreOfficeの動作がスムーズだったからだ。ただし、ローカルで動画を再生するとフリーズするなど、未完成と思われる部分もあり、手放しにはお勧めしづらい。
最新のOSに飛びつくと、商用であれフリーであれ、問題が発生する。登場直後のOSは、しっかりした用途のあるPCではなく、引退済みのPCなどで遊んだほうがよい。
最近のOSは、バージョンが変わっても、見た目や使い勝手は大きくは変わらない。アップグレードによる実用上のメリットで最も大きいのは、セキュリティアップデートのサポート期間が延びることだと思われる。だから、現状のOSのサポートが続いている間は、急いでアップグレードする必要は、必ずしもない。
そうはいっても、新しいOSをいち早くいじることは、楽しいことだ。目立たない所でも、少しでもよくしようとする工夫を見つけることは、楽しいからだ。
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