連休中の東海道新幹線で自由席での着席にチャレンジ(東京⇔名古屋)

2016年8月15日


東海道新幹線のきっぷ(特急券)には、座席を予約した「指定席」と、予約のない「自由席」があります。東海道新幹線の電車は、「指定席車」と「自由席車」の両方を連結して走っています。お盆や年末年始の指定席はたいてい、当日に買おうとしても売り切れていますが、予約のない自由席でも、よく考えれば、なんとか座っていけることもあります。とても利用の多い、東京⇔名古屋では、次のように考えると、たいていうまくいきます。

座れないのは乗客が座席の数よりも多いから

帰省ラッシュなどで新幹線が混雑し、座れない利用者が出てくるのは、座席の数よりも多くの人が乗車しているからです。

定員オーバーで運転すれば、座れない人が必ず出ます。需要が供給よりも大きくなった場合に限り、立客が発生するのです。

立客は、自由席で発生します。需要が供給よりも大きいときに発生する現象は、指定席と自由席で異なるからです。

指定席では、多くの人が利用したい時間帯の前後に利用者を分散させて、需要と供給が一致するように調整しますが、自由席ではそのような調整が行われないので、需要が供給を超えれば座れない人が出て、需要が供給を下回れば空いた席が出るというように、込み具合のばらつきが大きくなりやすいです。

このように考えると、指定席は目的地に着く時間は重視しないが座って行きたい場合に、自由席は座っていけるかは重視しないが目的地に時間通りに着きたい場合に適しています。

ただし、実際に自由席を利用する人は、一瞬でも早く目的地に着きたい忙しい人ばかりではありません。

例えば、出発時刻を事前に決められないので指定席を予約できなかったが、駅に着いたら当日の指定席が全て売り切れていたことを知った人とか、窓口で売っている自由席特急券が指定席特急券よりも安かったので自由席を選んだ人、事前に細かい予定を立てるのを嫌う人などがいます。

指定席は予約しなかった(できなかった)けれど、なるべく座って行きたいこのような人たちが、座っていける可能性を高める方法を考えてみます。

オフピーク帰省?:乗る日と時間帯を考える

自由席で座れなくなるのは、利用者の数が座席の数よりも多いからです。利用者の数(需要)が、座席の数(供給)よりも少なくなる時間帯を狙えば、全ての利用者が座れます。

臨時列車が多く出ている時間帯(供給の多い時間帯)で、かつ、需要がピークになっていないとき(需要が少ない時間帯)に出かけるのが、おすすめです。

お盆や年末年始で新幹線が激しく混雑する時間帯は、思ったよりも短いこともあります。ピークをうまく外せば、予約が取れなくても自由席に座れるケースがあります。

年末年始やお盆の時期は、ニュースでよく、「新幹線は、自由席の乗車率が150%になった列車があった」というような情報が流れます。

混雑が激しい時間帯は、指定席のきっぷが手に入らず、やむを得ず座れない覚悟で自由席に乗車する利用者も多いので、とても込みます。このような時間帯に自由席で挑むのは、競争率が高すぎるので、賢明ではありません。「のぞみ」の自由席の座席は1編成に250席ありますが、例えば自由席の利用者が500人いたら、半部の250人は座れません。(自由席の乗車率が200パーセントのとき。これはかなり極端な例です)

それでは、年末年始やお盆の時期はいつも、自由席に乗っても座れないかというと、そうでもありません。

ニュースをよく聞くと、「午前中の列車では、乗車率が100%を上回った列車もあった」というように、本当に混雑していたのは、午前中など、一部の時間帯だけの場合が多いです。

本当に激しく混雑する、連休前日の夕方以降や、連休初日の午前中、連休最終日などを避け、ピークを外して行動すれば、案外と簡単に座れてしまうことも珍しくありません。

お盆休みや年末年始の間は、ビジネスの乗客が少ないにもかかわらず、臨時列車が一日じゅう大増発されているので、ピークさえ外せば、座って乗車できるチャンスは案外と多いです。

逆に、連休を最大限活用すべく、「連休初日の朝から遠くへ山登りに行きたい」というような、あきらかに混雑する時間帯に具体的な予定がある場合は、早めに指定席を予約しておいたほうがよいでしょう。当日きっぷ売場で、そのような時間帯の指定席を求めても売り切れていますし、自由席に乗っても、座れない可能性が高いです。

混雑する日や時間帯の情報は、ニュースサイトや鉄道会社のホームページなどで得られます。さらに、自分で直接予約状況を確認して調べることもできます。以下のページで個別の列車の指定席の予約状況を見ると、自由席の混雑の様子を想像できます。

http://www.jr.cyberstation.ne.jp/vacancy/Vacancy.html に接続して、利用したい時間帯で検索して、指定席が軒並み満席の時間帯は、自由席も混雑することでしょう。

普通席だけでなく、グリーン席まで満席になる時間帯は、「お金をたくさん払ってもいいから、何としてもこの時間帯に行きたい!」という人ですら、席にありつけない状況なので、「もう、座れなくてもいいから、何としてもこの時間帯に行きたい」と考える人が多く現れても、不思議ではありません。自由席は、きっとすごく込みます。

普通車の禁煙席は満席だが、普通車喫煙席やグリーン車には空席がまだある程度の状況であれば、もしかしたら、自由席はそれほど激しくは混雑しないのかもしれません。

なお、指定席の予約の状況は、何日先の予約を検索したかに応じて、変わってきます。乗車日が近づくほど予約は増えていくので、半月前には空席が目立っていても、出発前日には予約がいっぱいになっていることは、よくあります。

台風が来たり、集中豪雨があったりして、ダイヤが乱れると、混雑の予想が外れることも、ときどきあります。

乗る駅によって違う

連休初日の午前中に、どうしても出発したくなったときなどは、指定席であれば売り切れで入手できず、自由席であれば、どうしても座れない人が出ます。

こんな状況で、なるべく自分だけは座って行けるようにするには、どうすればよいのでしょうか?

まず、なるべく始発駅から乗ったほうが有利です。

100席ある車両に、下り電車で、東京から100人乗り、品川から50人乗り、新横浜から50人乗ると、誰も降りなければ座れる可能性は50%です。

このとき、どの駅から乗っても、座れる可能性は50%ということは決してありません。自由席の座席は早いもの勝ちなので、始発駅の東京では100%座れ、品川と新横浜から乗った人は全く座れないことになります。

しかし、なるべく始発駅から乗りたくても、行程の都合上どうしようもないこともあります。

東京⇔名古屋の行程では、東京から乗るときは全て始発電車に乗れますが、名古屋から乗るときは始発はほとんどありません。

従って、乗る駅毎に、なるべく座って行くための攻略法は異なります。

東京発は整列乗車。よい列に並びたい

新幹線の東京駅は始発駅なので、自由席の座席数までの人数が座れます。極端に混雑する時間帯でなければ、並ぶホームをよく考えて選べば、それほど待たずに座っていけることも多いです。

連休中は臨時列車が多く、東京⇔名古屋⇔新大阪間では、所要時間の短い「のぞみ」号が、1時間に10本くらい運転されていることも多いので、座れるチャンスはそれなりにあります。

東京駅は、ホームの数が多いので、どのホームで並ぶべきかはよく考えたほうがよいです。

既にドアを開けて、出発間際の電車へは、今から向かって行っても既に満席かもしれません。

出発が早い列車や、遠くまで行ける列車は、行列が長いかもしれません。

東京駅からであれば、ホームの足元にある、並ぶ場所を示すラインの内側に並んでいれば、(運にもよるかもしれませんが)たいていは座れるようです。ラインの外まで行列が延びてしまうと、もう一本待たされる可能性が大きくなってきます。目の前の行列に並んでみようかと考えるときには、参考になります。

なお、「のぞみ」号の自由席は1、2、3号車ですが、号車ごとに座席数が違います(65, 100, 85席)。足元に引かれた行列のラインの長さが、号車毎に違っているかは、定かではありません。

混雑が激しく、1本の電車に乗りきれないほど並んでいるときは、20分以内に続けて「のぞみ」が出発するなど、頻繁に「のぞみ」が出発するホームで待つと、1本めではダメでも、2本めで座れることがあります。この場合は、ホームで何十分か待たされることが多いです。

2本めでもダメなほど行列が長いときは、混雑が相当激しい時間帯なので、かなり苦しいことでしょう。並んでいる間にトイレに行きたくなることもあるでしょうから、基本的に、ここまで混む時間帯に、座るつもりで自由席を利用することはおすすめできません。

混雑が激しいときは、座ることをあきらめて、立って行く人も多く出てきます。座るために駅のホームで待ち続けることによる疲れや遅れ、座れない列車に乗ることによる時間の節約や疲れの大きさを天秤にかけて、乗る電車を選ぶのは、始発駅での通勤電車で見られる現象と同じです。

混雑が激しい時間帯ほど、我慢してでも座って行きたい人も多くなるので、座るために待つ時間は、長くなります。もはや、我慢比べです。

行列がそこまでできていないときは、博多など遠くへ行く電車ではなく、新大阪など比較的近くへ行く電車のほうが、乗る人が少ない傾向があるので、おすすめです。臨時列車が多い時間帯だと、出発直前でも座れてしまうケースも多々あります。

同じホームの両側から、3分程度ずれて2本の「のぞみ」号が発車するようなケースでは、新大阪止まりの列車の自由席は、発車直前まですいていることも多いので、とくにおすすめできます。旧型の700系電車による臨時列車が、出発直前まですいている様子を、ときどき見かけます。

ちなみに、上記の我慢比べを、あらかじめ予約システムを使って行うのが、指定席という仕組みです。

名古屋発は車内観察。たくさん降りるなら座れる可能性大

名古屋から東京行の「のぞみ」号に乗ろうとすると、始発駅ではないのでたいへん厳しい状況になります。自由席に座れるかは、京都方面から、東京方面に乗り続ける乗客の数に大きく影響されるので、運任せの面が強いです。

極端に混雑する時間帯は、自由席の多くは京都以遠からの利用者に取られてしまっているので、東京から乗る場合よりも、座れる可能性は低いです。座るつもりなら、自由席は避けたほうが無難です。

どうしても座りたいのであれば、名古屋で空席が多くでる列車と、そうでない列車があるので、座れそうにない列車に間違って乗らないことが大切です。

名古屋駅から上りの新幹線に乗る場合、電車がホームに入ってくるときに、たくさんの人が車内の通路に立っているのが見えることがあります。

この人たちが、座れなかったので立っているのか、名古屋駅で降りるために席を立っているかを判断することは、とても重要です。

座席がほぼ満席で、さらに立っている人も多くいるのであれば、車内には座れなかった人が多い様子なので、名古屋である程度の数の乗客が降りても、名古屋からの乗客は、座れない可能性が高いです。

逆に、車内で立っている人が数多くいるけれども、座席がたくさんあいている場合は、立っている人の大部分が名古屋で降りれば、名古屋からたくさんの人が座れます。ホームで並んでいる人数が少なければ、座れる可能性が高いでしょう。降りてくる人数も見て、座れるかどうか想像してみましょう。

間違って、座れそうにない電車に乗ってしまうと、ドアが閉まってからは別の電車を選びなおすことができなくなり、新横浜まで立っていくはめになるので、座れそうにないと思ったら、1本見送ったほうがよいでしょう。

名古屋駅の新幹線上りホームは、両側に列車が到着するので、どちらに並べばよいかも、気になるところです。

指定席が軒並み満席でも、ホームで自由席に並んでいる人がほとんどいないケースがときどきあり、そのようなときは、列車が到着するたびに、乗れなかったら隣の乗場に並び直してもよいかもしれません。

ホームに長い行列ができているのであれば、最初に「のぞみ」が来るホームでまずは待ち、乗れなかったら同じホームで次を待つのも1つの方法です。しかし、長い行列ができてしまうときは、名古屋に入ってくる「のぞみ」は、自由席も軒並み満席で、座ることを考えると、いつになっても乗れないこともあります。こうなってしまうと、本当にどうしようもありません。そんなときは、「のぞみ」をあきらめ、各駅停車の「こだま」も検討してみましょう。とくに、1時間に1本程度ある、名古屋始発の「こだま」であれば、極端に混雑する時間帯でなければ座れることでしょう。

ちなみに、指定席を予約する場合は、名古屋から上りの列車を予約することが、新大阪や博多などの始発駅から上りの列車を予約するよりも、不利になることはありません。名古屋から東京へ行く利用者が先に予約を行って満席になれば、新大阪から東京へ行く利用者は、予約を取れなくなります。

自由席では始発駅に近い順の早いもの勝ちでしたが、指定席では予約を行ったタイミングの順での早いもの勝ちとなります。

2号車の新大阪寄り?:並ぶ場所を考える

「のぞみ」の自由席は、特別なことがない限り、1〜3号車です。

東京⇔名古屋の利用であれば、2号車の、新大阪に近いほうの乗場で並ぶと、座れる可能性が高いように思います。

これには、いくつかの理由があります。

なお、最近では、1号車のほうが座れるとする説もあります。1号車は、ホームの階段から遠い上に、座席の間隔がやや詰めて配置されており窮屈な感じがするので、敬遠する人が多いのかもしれません。最近、2号車に車掌さんがやってきて「1号車なら座れますよ」と声をかけていることがありました。

ちなみに、混雑が激しい時間帯は、どこに並んだとしても、座れそうにありません。

臨時のぞみ号・こだま号・ひかり号:乗る列車を選ぶ

極端に混雑している時間でなければ、東京か名古屋で乗車するのであれば、定期列車の「のぞみ」よりも、臨時の「のぞみ」や、「ひかり」「こだま」のほうが、座って行くには有利なように見えることもあります。

指定席のほうが安い?:指定席が満席でも自由席には座れることも

最近は、指定席が満席でも、自由席だと座っていけるという、謎めいた現象によく遭遇します。

事前に確実に座って行ける安心感を得たいという需要が多いからなのかもしれません。最近は、インターネットで指定席を予約できるので、「指定席のきっぷを買える駅が遠くて早めに予約ができないので、やむを得ず自由席で行く」という人は減ったことでしょう。

指定席よりも自由席がすいてしまう現象には、指定席のほうが自由席よりも安く乗れるケースがあるという、逆転現象も関与しているようです。

例えば、JRの会員制ネット予約システム「エクスプレス予約」では、自由席と同額程度で指定席に乗車できるサービスが提供されています。

とくに、「エクスプレス予約」には、「21日前まで」のように、早めに予約すると、大幅に割引になる商品があります。この商品は、指定席専用で自由席には乗車できず、結果として指定席のほうが自由席よりも安くなっています。

(※「エクスプレス予約」は、年会費を必要とするサービスなので、会費等を考慮するとかえって割高になる場合もあります。)

割安なパック旅行で新幹線に乗る場合も、ほとんどの場合指定席に乗ることになっており、自由席には乗れない場合が多いです。

企業などでは、会社ぐるみで「エクスプレス予約」を契約し、指定席を安く利用しているところも多いようです。

このように、価格に最も敏感な層は、自由席ではなく指定席を利用している様子があります。

このように考えていくと、なるべく安い料金で、工夫して座っていくことを重視するのであれば、自由席について研究をするよりも、指定席で安く乗れる商品を研究したほうが、快適に利用できるような時代になりつつあることを感じます。

利用者がそれほど多くない時間帯に、自由席よりも指定席が混雑していることが多くなったのは、指定席を安価に利用する方法が浸透した結果かもしれません。その結果、指定席が満席でも自由席には座れるという怪現象が時おり発生し、無計画にいった側が、計画的な側に勝利してしまうケースがあるというのは、興味深いです。自由席のほうが指定席よりも、高級(高価)なきっぷになっているのですから、このようなケースが発生することも、やむを得ないのでしょう。

まとめ

参考になるページ


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