2015年11月28日
Androidアプリの開発を学ぶための教材「アプリ開発者養成講座テキスト」(PDF)が、「Tech Institute」というグループの公式サイトで無料公開されています。スマホやタブレット向けだからこそ心がけたいことから、Android Studioの便利なTipsまで、アプリ開発の全体像を、ある程度網羅的にまとめていて、とても好印象です。
教材は、書籍のような体裁をしたPDFファイルで、http://techinstitute.jp/にアクセスし、「テキストダウンロードページ(第2期)」と書かれたリンクをクリックすると、ダウンロードページにジャンプできます。
教材の内容は、スマホの仕組みから始まり、開発環境(Android Studio)のインストール方法、基本的なアプリの作成方法、より詳しいAndroid開発の知識や例題などからなり、充実しています。
理論や方法論を正確に学ぶ大学の教材とは異なり、初めてアプリ開発をする人へ向けた、チュートリアルのような内容になっており、理屈の正確さよりも、実践しながら技術を身につけていけるような内容になっています。
既に、ある程度Android開発になじんでいる人が読んでも、Android StudioのTipsを知ったり、様々な用語の意味が分かったり、知らなかった機能に気づいたりなど、いろいろと発見があってためになります。
教材は、一般の書籍のように、図や表を多く用いた分かりやすい記載になっています。若干校正が甘く、誤字がそこそこ残っている点は、商業出版と比べればやや劣っているのかもしれませんが、内容はまさに、売り物になる書籍です。
これが無料で入手できるとは、驚きを禁じ得ません。
ダウンロードにあたっては、個人情報などの入力も不要ですので、気軽に入手できます。
ちなみに、「第1期」の教材もダウンロードできますが、こちらはEclipseで開発を行っていた時代のもので、若干内容が古いです。「第2期」の教材があれば、「第1期」は必ずしも必要ではないように思われます。
教材を公開しているのは、「Tech Institute」というグループで、「サムスン電子ジャパン」の寄付により運営されている様子です。
サムスンとしては、日本ではiPhone向けのアプリが充実しまくっているので、自社で作っているAndroid端末をもっと普及させるためには、日本でもアプリの開発を盛んにしたいという思惑があるのかもしれません。
このような教材は、趣味の材料として、とても面白いです。パソコンとAndroid端末があれば、あとはお金をほとんど使わずに、開発環境と教材が揃い、アプリの開発ができてしまいます。アイデア次第で可能性が広がりますし、よい頭の体操にもなります。なかなか、魅力的です。
魅力的なアプリを開発できるようになっても、それを職業にできるかは、また別の問題のように思われます。日本は、次々と学びと転職を繰り返せるような社会ではないので、変化の激しい開発者への道を選ぶと、キャリアが行き詰まってしまうリスクがあります。
ソフト開発の実務のほとんどが、非正規雇用に向けられている現状では、待遇が魅力的ではない上に、新卒でしか正社員を雇用しない企業が大部分であるため、いったん行き詰まると、社会参加の場を失ってしまうリスクが高いです。
また、魅力的なアプリができても、日本では出資を集めることが難しいため、収入に結びつきにくいリスクもあります。
海外に出たほうが、IT系の仕事は待遇がよいのかもしれません。
杉原俊雄のホームページ→ Androidアプリ開発メモ(もくじ)
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