赤外線発信装置--タッチアンドゴー計画
2004年8月30日
最初は手に信号を流す予定でしたが……
左右にのびた針金の両方に指などで触れると、透明な赤外線LEDと、赤色LEDが数秒間にわたって信号を出力します。
信号は、同じ内容を16回繰り返しています。
ちなみに、針金を2本の指でさわると信号が出力されるという仕組みは、もともと、指に電位差の信号を流すことで、腕に取りつけたセンサで信号を受信しようというアイデアによるものでした。しかし、人間の指は、表面の抵抗が大きいので、信号を腕で検出することはできませんでした。
赤外線の出力は、最初のアイデアがうまくいかなかったので、やむをえずつけたものだったりします。
回路図とハードウエアの仕組み
この装置の回路図は、次のようになっています。
- T1とT2の2つの端子に、指が触れるなどして導通すると、GP3ピンの電位が低くなり、それをきっかけとして信号の送出が始まります。
- 端子T1とT2には、LEDの光と同じタイミングで、電位差の信号が出てきます。T1が+3VでT2が0Vの状態と、T1が0VでT2が+3Vの状態を、交互に繰り返すので、指の間には電位差がうまれ、指には少しだけ電流が流れます。(3Vなので、感電するほど強くはありません)
- 発信子はありません。マイコンPIC12F675が内蔵するRC発信回路により、およそ4.0MHzで動作します。2%くらい速度に誤差が生じる可能性もあるそうですが、実用上は問題ありません。
- 赤外線LEDには、70mAから100mAくらい流れるようです。
- 信号が出ていないときは、マイコンはスリープ状態になっています。とのときの消費電流は、マイクロアンペアの単位まで下がります。
- 単3形電池2本で動作しますが、安全のため自動復旧型の簡単なヒューズをつけました。
この装置は電池駆動なので、操作することで初めて赤外線が出るようになっていますが、ACアダプタ駆動にすれば、たえず赤外線の信号を出し続けるようなものにしてもよいかと思います。赤外線LEDをたくさん並べると、信号が強くなっていいかもしれません。
ちなみに、送出している信号波形を、音声として出すと、こんな音になります。LEDのところにスピーカーをつければ、ちょうどこの音が出ます。
なんだか、まの抜けた感じがしなくもありませんね(笑)。
部品の配置は、次のようになっています。
指で触るための電極が左右に広がっています。赤外線LEDの部分は、後から書き足したものです。
ソースコードとソフトウエアの仕組み
ソースコードは、比較的短いもので、こちらとなります。
プログラムは、次の要素などからなっています。
- 信号の送出開始を待つ部分。GP3ピンが変化するまでは、クロックを停止してスリープ状態となります。
- 信号を送出する部分。自分で考えたフォーマットに従い、16回出力しています。
- 待ち状態への移行部分。コンデンサを充電したのち、GP0を高電位、GP1をハイインピーダンスとして、T1とT2が導通すれば、トランジスタがオンになる状態にします。
ちなみに、プログラムの先頭部分で、この装置のIDを決めています。ここで決めたIDが信号にのせられ、タイムレコーダーに記録されます。ソースコードでは、IDは1001hとなっています。
やってみましょう
- 2台おもちゃを作り、通信ができるようにしてみましょう。通信のルールを考えたり、回路図を書いたり、プログラムを書いたりと、やることはたくさんあります。
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赤外線発信装置--タッチアンドゴー計画
製作・著作:杉原俊雄(すぎはら としお)
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