マウステスター計画--マウスの故障診断に
2003年10月5日 - 2003年11月16日
マウスとPICをつないでみたい
マウスやキーボードは、普段はパソコンにつないで使っています。動かす量や向きを指示したり、たくさんの文字を入力したりと、けっこう高機能な入力装置で、しかも値段が安く、簡単に入手できます。
マウスやキーボードを、パソコンだけでなく、自作のマイコンおもちゃにつなげられるようにしたら、もっと面白いことができそうです。
そこで、PICマイコンを使って、マウスやキーボードをつないで、入力内容を表示する、という簡単な機械を作ってみることにしました。
PS/2インターフェースをいじる
マウスとキーボードは、現在PS/2コネクタがついているものと、USBコネクタがついているものに分けられます。私のパソコンでは、マウスもキーボードもPS/2コネクタを使っているので、作るおもちゃもPS/2インターフェースに従ったものにすることにしました。
PS/2インターフェースは、シリアル方式で、クロックとデータの信号線を制御する方式で、詳しいことは、次のページに書いてあります(英語)。
6ピンのコネクタながら、信号が送られるのはクロックとデータの2本だけの、比較的シンプルなインターフェースとなっています。
マウスもキーボードも、全く同じインターフェースを使っています。そのため、マウスをつなげられるおもちゃは、プログラムしだいではキーボードもつなげられるようになります。
インターフェースで使うクロックの周波数は、10kHzから16.7kHzまでの範囲で、比較的低くなっています。PICマイコンでも扱える範囲でしょう。USBの場合は、たいへん周波数が高いので、PICマイコンで扱うことは困難です。
こんなことに使いたい
マウスやキーボードをつないでやりたいことは、こんなことです。
- マウスやキーボードが、故障していないかを確かめる用途。私が働いている場所には、マウスやキーボードがつながった情報端末がたくさんあり、多数の利用者が毎日使っています。ときどき、不調を起こす端末があるのですが、マウスやキーボードが正しく機能しない場合、マウスやキーボードが壊れているのか、それとも端末本体や、ソフトウエアが壊れているのかを区別することは、そう簡単ではありません。マウスやキーボードを直接つないで簡単にチェックできる装置があれば、いちいち端末の電源を入れなくても点検ができて便利です。
- マウスやキーボードで操作できる、ロボットみたいなおもちゃを作るための技術を開発する用途。ここでキーボードやマウスの扱い方を学んでおけば、マウスで操作できるネズミ型ロボット「マウス」など、とてもあやしい企画を立てるためのきっかけを得ることができます。キーボードをたくさんつないでバトルできるおもちゃなど、あやしいアイデアは無数に存在します。
実現したい機能
今回作る予定の装置は、さながら、故障診断装置という感じです。
- マウスが動いた距離などの情報から、マウスの座標を計算して、液晶画面に表示する。
- どのボタンが押されているかを、液晶画面に表示する。
- マウスやキーボードとの間で行った通信内容を、データとして液晶画面に表示する。
- マウスやキーボードについているスイッチの接触不良を検出するために、押されていたら赤、押されていなかったら緑に点灯するランプをつける。
ハードウエアの仕組み
このような回路図を考えてみました。
以前の回路図には間違いがありましたが、修正した結果、上記のようになりました。
- マイコンには、PIC16F628を使います。PIC16F84とほぼ上位互換があり、価格も安いからです。
- PS/2インターフェースにつながる「DATA」と「CLOCK」は、PICマイコンの側からは、電流を引き込むか、ハイインピーダンス状態にするかのどちらか一方を保つ必要があります。ローインピーダンスでHIを出力すると、大電流が流れて装置やマウス・キーボードを故障させる原因となります。プログラムの書き間違いや、暴走には気をつける必要があります。
- それほど正確なクロックは必要ではないので、セラミックの発振子を使うことにしました。「セラロック」という名前で村田製作所から発売されています。
- 液晶表示器には、横20文字、縦4行を表示できる大きな物を使う予定です。これは、1500円します。
製作はこれから始めます
これから、実際に部品を買いに行って、実物を製作する予定です。部品の配置を決めたり、プログラムを書いたりします。
少々気になるのが、マウスやキーボードをつなぐためのコネクタがどこで手にはいるかです。意外と売っていませんよね。
やってみましょう
- パソコンのキーボードやマウスで操作できる、面白いおもちゃのアイデアがあったら、実際に作ってみましょう。面白いものができたら、教えていただけるとうれしいです。
関連情報
杉原俊雄のホームページ ->
PICマイコンを楽しむ ->
マウステスター計画--マウスの故障診断に
製作・著作:杉原俊雄(すぎはら としお)
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