超省エネラジオ--消費電流は0.1mA

2003年9月23日 - 2003年9月30日


単3形乾電池1本で2年は鳴り続けます

みなさんは、ラジオを聞きますか?最近は、テレビを長時間見るのが当たり前の時代となっていますが、わたしはラジオのほうが好きです。いつも、しっかりした話を聞かせてくれるからです。特に、音楽よりも会話を重視しているAMラジオは大好きです。ついつい、深夜まで聞いてしまうこともあります。

ラジオを聞く時は、たいていはラジカセなどを使いますが、ラジオを自分で作ってみるのも楽しいものです。

せっかく作るのですから、普通に売っているラジオとは違うものを目指しましょう。そこで、単3形乾電池1本で、2年くらいは鳴りっぱなしにできるような、電池の持ちがよいものを作ってみました。

電源スイッチを付けなかったので、イヤホンを耳につっこめば、いつでも好きなだけラジオを聞くことができます。

ちなみに、今回の作品にはPICマイコンを使っていません。いわゆる番外編としてお楽しみください。

ラジオの写真

省エネの秘密はセラミックイヤホン

知る人ぞ知ることですが、昔は、電池がなくても聞ける「ゲルマラジオ」というのがありました。このラジオでは、普通のイヤホンでは音が出ず、「クリスタルイヤホン」という特別なイヤホンを使うと、とても小さな音が出ます。

今回紹介するラジオでは、クリスタルイヤホンに近い特性の「セラミックイヤホン」から音が出ます。セラミックイヤホンは、コイルというよりは、コンデンサに近い特性を持っており、たいへん少ない電流で、比較的大きな音を出すことができます。

スピーカーを鳴らす時に必要となる電力増幅回路がいらないので、消費電力がとても小さいラジオを作ることができるのです。

回路の仕組み

こちらが、回路図です。

回路図

消費電流は、音量を最小とした時には、0.11mAくらいです。音量つまみを最大にしても、1mA程度までしか消費しません。ただし、音量を上げすぎると、音が割れてしまいます。

実用性からみた消費電流は、深夜に小さな音で聞きたい場合は0.11mA程度、大きな音で聞きたい場合は0.3mA程度となるようです。

地震が来ても、停電しても、イヤホンを耳につっこみさえすれば、いつでもラジオが聞けるというのは、心強い限りです。

ちなみに、消費電流は、電池の電圧が高いほど大きくなる傾向があります。新品の電池は電圧が高いので、音量を最小にしても0.15mAくらい流れてしまうかもしれません。

やってみましょう

  1. 電子工作は一般的に、やけどや火事などのリスクを伴うものです。製作中にけがをしないように、また、製作した物が火事や事故の原因とならないように気をつけましょう。万が一不都合が生じても、ホームページの作者は責任を負いかねます。お読みになる方の自己責任においてお楽しみください。
  2. ご自分でラジオを作ってみてはいかがでしょうか。図書館にでかければ、電子工作の解説書が見つかるでしょう。ラジオの製作について書いたものも、たくさんあると思います。

ちなみに

ここで紹介しているラジオは、かつて「子供の科学」という雑誌に紹介されていた回路図をもとにしています。というか、私が小学生だった時にその雑誌を読んで自作したラジオが、故障のたびに部品を取り替えられていったものが、今回紹介したラジオだったりします。

このラジオは消費電流が小さいので、デジカメなどで使えなくなった乾電池が、そのまま使える場合があります。引退した電池に、第二の人生を過ごしてもらいましょう。

このラジオでは、放送局が深夜などに送信出力を下げると、そのまま音量が小さくなります。「東京第一放送は、通常の出力300kWから、200kWに出力を落として放送いたします」というアナウンスが流れてしばらくすると、確かに音が小さくなったことが分かります。



杉原俊雄のホームページ -> PICマイコンを楽しむ電子工作 -> 超省エネラジオ--消費電流は0.1mA
製作・著作:杉原俊雄(すぎはら としお)
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