2003年8月31日
前回の記事で紹介した充電器には、充電電流がそれほど正確に指定できないという問題点がありました。そのため、次の改良を加えることになりました。
最後に書いてある値段は、解決のために購入した部品の価格です。合わせて1355円と、けっこうかかっていますが、趣味なので、いいということにいたしましょう。
回路図は、少し変わって次のようになりました。
以前、液晶モジュールの未使用ピンD0,D1,D2,D3をGNDに接続した回路図を掲載していましたが、それは誤りで、実際は開放します。GNDに接続したままですと、短絡が起こる場合があります。
ちなみに、充電式電池の近くにある0.3Aのヒューズは、抵抗値が大きいと300mAで充電しようとした時の電圧降下が大きくなり、充電電流が300mAに達しなくなることがあります。電流の定格が大きなヒューズに変えれば解決しますが、安全性は低下します。
演算増幅器LM358Nを追加することによって、PICマイコンのVREF出力の値がより正確になったと考えられます。
一方で、充電電流の指令値は、半固定抵抗で調整できるようにしたので、この部分をいかに正確にできるかが、正しい充電電流を実現する上でのポイントとなりそうです。
そして、こちらが部品の配置図です。幸い基板に余裕があったので、現在使っている基板の上におさまりました。
ファームウエアのソースコードも、少しだけ新しくしてみました。I/Oの初期化を1分に1回に減らしたり、起動時にバージョン番号を表示したりしています。
ソースコードはこちらからご利用ください。
2日がかりで改造して、できた物がこれです。
見た目には、前回のものとほとんど変わりませんが、6Vという標識つきのアダプタが使われていることや、ヒューズボックスがついたところなどが新しいです。
次に、きちんと調整をした上で充電電流を測定してみました。
調整は、画面表示を300mAとして充電状態にした時に、コンパレータへの入力ができる限り1.0Vに近くなるように、半固定抵抗を回すことにより行います。半固定抵抗の値は、およそ4kオームになります。
私が作った回路では、半固定抵抗は10kオームのものですが、例えば3.3kオームの抵抗と1kオームの半固定抵抗の直列つなぎにするなどすれば、さらに正確な調整ができるようになると思います。
さて、測定結果は次のようになりました。
画面で設定した電流値(mA) | 実際の充電電流値(mA) | コンパレータへの充電指令値(mA) |
---|---|---|
000 | 1.17 | 0.780 |
020 | 21.8 | 20.5 |
040 | 42.0 | 40.2 |
060 | 62.1 | 60.3 |
080 | 81.9 | 80.4 |
100 | 102 | 100 |
120 | 122 | 120 |
140 | 142 | 140 |
160 | 161 | 161 |
180 | 181 | 180 |
200 | 200 | 201 |
220 | 219 | 221 |
240 | 239 | 241 |
260 | 258 | 261 |
280 | 277 | 281 |
300 | 296 | 302 |
かなり、正確になりました。低い電流値では、表示よりも2mA程度多めに流れてしまうことがありますが、電流を多くしていった場合に誤差が大きくなる現象は、大きく改善されました。
なお、電池には単3形のニッケルカドミウム電池を、2本直列にしたものを使いました。
この図で、左から3つめの種類を使っています。
結果は、電池の種類や状態により変わってくるかもしれません。