怪奇な運賃--往路と復路で異なる金額に

2004年11月21日


「ゆきはよいよい かえりはこわい」というのは日本のわらべうた「とおりゃんせ」の一節です。

実は私は最近、たいへん奇妙な体験をしました。鉄道の運賃で、全く同じきっぷを用意してでかけたのに、ゆき(往路)とかえり(復路)とで、運賃が異なったのです。

ゆき(往路)は520円なのに、かえり(復路)は610円でした。「ゆきはよいよい かえりはこわい」という歌詞にぴったりです。

この怪奇現象は、どのように説明できるのでしょうか。よろしければ、いっしょにお付き合いください。

なお、ここに書いたことは、必ずしも正しいこととは限りません。仮に間違っていたとしても、補償はいたしませんのでご注意願います。鉄道を利用する上で分からないことは、駅まで直接お問い合わせください。

ゆきはよいよい「新大塚から柏まで」

今回の旅は、東京メトロ丸ノ内線新大塚からはじまり、途中淡路町で東京メトロ千代田線に乗り換え、相互乗り入れしているJR常磐線の柏まで行きます。

旅程(ゆき)

今回は、綾瀬では改札口を出ず、相互乗り入れの電車に乗って、松戸方面に直行します。北千住-松戸間は、各駅停車の利用となります。

出発は回数券で(新大塚→淡路町)

旅の出発は、回数券です。東京メトロの回数券は、こんなふうに、使う前は駅の名前が入っていません。なので、東京メトロのどの駅からでも使えます。

利用前回数券

新大塚駅の運賃表を見ると、なにやら書き換えた跡がみえたりします。「亀有以遠へおこしの場合JR線のりつぎは北千住からの運賃です。」という説明書きが気になります。とはいえ、北千住まで行っても綾瀬までいっても230円なので、それほど気にする必要はなさそうです。

新大塚駅運賃表

回数券は、改札を入るとご覧のように、駅名が入ります。

利用開始後回数券

さて、ともあれ淡路町まで直行です。

利用開始後回数券

淡路町駅から千代田線に乗り継ぐためには、いったん改札口を出る必要があります。なので、乗り継ぎ精算をしました。「乗り継ぎ精算機」にさきほどの回数券を入れ、千代田線の終点にあたる「綾瀬」のボタンを押すと、70円請求されました。なるほど、新大塚から綾瀬までが230円だから、160+70=230という意味ですね。

お金をいれると、さきほどの回数券とひきかえに、「区変回数券」が出てきました。東京メトロ線内では、回数券でも区間変更ができるので便利です。

区変回数券

出発地の駅名が大きく印刷されているところが、この「区変回数券」の特徴かもしれません。

綾瀬と松戸で乗り換えながら(新御茶ノ水→柏)

新御茶ノ水で千代田線に乗ったら、綾瀬止まりでした。で、綾瀬駅のホームで待っていたら、次に来たのは松戸行きでした。なかなか柏までは行かせてくれませんが、松戸で快速に乗り換えることにして、とりあえず松戸まで向かいました。

松戸行きの電車

車内の路線図を見て思ったのですが、東京メトロの路線図と、JR東日本の路線図で、北千住-綾瀬間の扱いが違っています。

たしかに、場合によってはどちらの運賃にもなりうる区間ではあるのですが、説明が不十分な気がしなくもありません。

松戸で降りたら、すぐに快速に乗り換えられました。

松戸の電光版

わずか1駅で、柏に到着です。

柏駅の自動精算機曰く「290円」

柏駅の自動精算機に、区変回数券を入れたところ、こんな画面が出ました。(100円玉を2枚入れた時点での撮影です)

柏の自動精算機

おや?

実は、綾瀬まで有効な回数券で乗り越した場合は、東京メトロの運賃を北千住で打ち切る「連絡の運賃」の扱いにならないため、回数券が綾瀬まで有効となり、JRの運賃は綾瀬からの扱いになるようです。ただし、この解釈が正しいかは保証の限りではありませんので、ご注意ください。鉄道を利用する上で分からないことは、駅に直接お問い合わせください。

こんなわけで、私は290円を支払い、精算券を受け取って、無事柏に到着したのでした。

精算券290円

支払った運賃は、東京メトロの普通回数券160円ぶんと、淡路町での回数券乗り継ぎ精算70円、柏での乗り越し精算290円で、(回数券の割引分を考慮しなければ)合わせて520円でした。

かえりはこわい「柏から新大塚まで」

帰りも、柏から新大塚まで乗りました。乗車のパターンや、使ったきっぷは、往路とおおむね同じです。

復路

JRの普通乗車券で出発(柏→新御茶ノ水)

まずは柏駅で、290円の普通乗車券を買い、出発です。

柏からの普通乗車券

柏に来たときは、乗り越し精算が290円だったから、きっと帰りも綾瀬までの290円だろうと思ったから、そうしました。

快速電車で、まっすぐ松戸まで乗りましたが、なぜか各駅停車を一本も追い越しませんでした。よほど本数が少ないのかなあ。

松戸の各停ホームで待っていると、当駅始発の代々木上原行きが現われ狂喜。すぐに乗って、新御茶ノ水まで直行です。

松戸始発代々木上原行き

なぜか北千住接続で精算金額160円(淡路町→新大塚)

新御茶ノ水では、乗り越し精算機が混雑していました。なので、改札の窓口に、柏からの290円の普通乗車券と、未使用の東京メトロ普通回数券(160円区間)を出して、精算してもらいました。

差し出した2枚のきっぷ

すると、

「160円になります」

おや?

ゆきとは運賃が違うみたいでした。160円払って受け取ったきっぷが、こちらです。

区間変更券領収金額160円

ゆきとは異なり、「区間変更券」になっています。そして、出発駅は「北千住」になっています。

へえ、不思議だな、と思いつつも、そのまま丸ノ内線に乗り換え、新大塚まで行きました。

新大塚駅

これで、きょうの旅はおしまいです。

帰りの運賃は、柏で290円、新お茶の水で東京メトロの回数券160円分と現金160円で、(回数券の割引を考慮しなければ)合わせて610円でした。

運賃の違いが生じる理由

同じ回数券を使い、同じ経路を同じように乗車したのに、ゆきと帰りとでは運賃が異なる結果となりました。

どちらかが間違っているような気もしますが、そうでもないようでもあります。

「520円」と「610円」は、新大塚と柏の間の運賃を、どこで区切るかにより現われる金額です。というのは、北千住-綾瀬間は、利用の形態により、東京メトロの運賃とする場合と、JR東日本の運賃とする場合があるからです。

綾瀬切りと北千住切り

しかし、あらかじめ東京メトロの普通回数券(160円区間)を用意し、それ以外は現金で支払うという方法で乗車することで、なぜ、違いが出てしまうのでしょう。

ゆき--回数券で入場したら連絡の運賃にしない

ゆきも帰りも、千代田線の町屋方面から、常磐線各駅停車の亀有方面まで利用していますので、一見すると、運賃が610円になりそうな気がします。

しかし、ゆきは、普通回数券(160円区間)で入場したことが大きな意味を持ったようです。

東京メトロには、「回数券の運賃は、東京メトロ線内にのみ有効です。他の鉄道線に乗り継ぐときは、別に運賃が必要となります。」という規則があります。

この場合、「東京メトロ線内にのみ有効」は、北千住までではなく、綾瀬までという理解になるようです。「別に運賃が必要」は、綾瀬から別に必要という意味になるようです。

北千住で運賃を分ける「連絡の運賃」は、「運賃が別に必要」となる状況では、当てはまらないようです。

かえり--普通乗車券で入場したら連絡の運賃にするの?

一方、かえりは、回数券を併用したにもかかわらず、北千住で運賃が分けられてしまいました。

詳しい事情はよく分かりませんが、柏では普通乗車券で入場しましたので、回数券にある特別なルールが適用されなかったのかもしれません。

東京メトロの回数券は、「東京メトロのどの駅からも利用できる」というルールになっているのですが、他の鉄道会社で普通乗車券を購入し、かつ、東京メトロの綾瀬以外の駅で乗り継ぎ精算をするときに使う場合は、綾瀬駅からは特別に使えないのでしょうか。

JRの普通乗車券で綾瀬をこえて北千住まで来た場合は、北千住までがJR線だったから、回数券は北千住からしか使えない、という論理なのかもしれません。

同じきっぷを用意してでかけても、ゆきと帰りで運賃が異なる現象は、利用者の側としては、分かりにくく、困った問題です。

もっと分かりやすい説明が必要でしょうし、運賃の仕組みそのものを、もっと分かりやすくする必要があるようにも思います。

やってみましょう



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製作・著作:杉原俊雄(すぎはら としお)
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