PanasonicラジカセRX-FS27レビュー--ずれないチューナーとアナログな音質の組み合わせ

2018年7月15日


普段使いのラジオが欲しくてPanasonicのラジカセ RX-FS27を買った。高域をばっさりカットした独特な音質は、まさに20世紀の音だった。ダイヤル式の選局ながら、チューナーがデジタル化されていて、ぴったり合わせられるチューニングなど、奥の深い機種で、楽しめそうな一台だ。

Panasonicラジカセ RX-FS27

Panasonicラジカセ RX-FS27

部屋にいいラジオが欲しい

筆者はラジオが好きで、部屋の中ではたいていラジオが鳴っている。これまでは電池式のポケットラジオ「Panasonic R-P130」を使っていた。

Panasonicラジオ R-P130

Panasonicラジオ R-P130

停電にも負けず、どこにでも持っていけるポケットラジオは、場所もとらずに便利だが、甲高い音質になりがちなのと、音量不足、電池交換の手間などが気になってきた。FMが聴けないし。

普段からつけっぱなしにできて、よい音質で落ち着いて聞けるラジオがほしい。

選択肢として上がったのが、大きめのホームラジオ、ラジカセ、CDラジオ、ミニコンポだ。

大きめのホームラジオも良いが、数が出ていないせいか、必ずしもお買い得な価格ではない。出力も1Wに満たないものが多く、パワーが心配だ。

ミニコンポは、高機能、高音質ですばらしいが、大きすぎて、置く場所に困りそうだ。掃除機が通るときに、どけるのが面倒そうなイメージがある。

そうなると、コンパクトな据置型の、CDラジオ、ラジカセ、CDラジカセくらいが選択肢になる。

CDを聴く習慣がないので、純粋なラジカセを選ぶことにした。

かつてはどの家庭にも1台はあったであろう、20世紀のラジカセのデザインに近い、Panasonic RX-FS27に決めた。ヨドバシカメラで税込み5,800円だった。

小ぶりで軽く、取り回しはよい

物を見て感じたのは、小ささだ。幅は34センチ、奥行は12センチくらいしかない。

枕元に置いたり、テーブルに乗せたり、冷蔵庫や洗濯機の上に乗せたりと、あちこち持ち歩ける。

ただし、電源ケーブルはそれほど長くないので、コンセントの近くに置く必要がある。

重さは、本体と電源ケーブルを合わせた実測値で1,669グラム程度だった。掃除機の邪魔物になるほどではないだろう。

重さを測ってみる

重さを測ってみる

低音寄りの音質はトークラジオ向けか

ラジオを聴いてみた。リモコンはないので、電源スイッチを「ラジオ」に切り替え、選局のダイヤルを回して放送局を選ぶという、懐かしいユーザインターフェースだ。音量つまみを適度に回すと、懐かしい音質の音が聞こえてきた。

本体上面の様子

本体上面の様子

低音寄りのAMラジオ

AMラジオは、ほぼ低音だけという雰囲気の鳴り方だった。

AMラジオ自体が、高い音を送信できないフォーマットなのだが、それでも低めの音を強調した音質に聴こえる。

これまで使っていたポケットラジオが、低音を出せない機種だったので、よけいに低い音が目立って聴こえたのかもしれない。

慣れないうちは、こもった音に聴こえたが、しばらく聴いていると、アナウンスや会話が、温かく滑らかな感じに聴こえてきた。長時間聴いていても、疲れにくいと思う。つけっぱなしにするには、いいかもしれない。

スピーカーに耳を近づけると、それなりにノイズが入っているが、高い音をカットすることで、ノイズが目立ちにくくなっているような気もする。1メートル程度離れて聴けば、ノイズが気になることはなかった。

NHKラジオ第一放送で歌謡曲を聴くと、昭和の雰囲気を楽しめる。なかなかいい感じだ。祖父が生きていた頃を思い出すよ。

音量を上げると、だんだんうるさくなってくるが、なかなか音が割れない。

2.5W+2.5Wで、総合5Wの製品だが、実際に大きな音を出せる。

ただし、コンポとは違い、頑張って出している音量なので、余裕のない、やかましい雰囲気になる。

明瞭に聴こえるFMラジオ

FMラジオに切り替えてみた。

FMは、そのままではガサガサとしたノイズが大きく入ってしまうので、アンテナを伸ばす必要があった。

アンテナ自体が、細くて弱そうな感じなので、折らないように気をつける必要があった。もっと、しっかりしたのを付けてほしいな。

最近では、AMのラジオ局がFM補完放送に進出していて、AM局をFMでも聴けるようになっている。

野球中継から、歌手の身の上話、交通情報まで、いろいろ聴いてみたが、周波数帯域が広いだけあり、人の声が明瞭に聞こえた。

AM局のトーク番組をFMで聴くには、とてもよいと思う。声につやがあって、いい感じだ。

音楽も、はっきりと聴こえる。ただし、デジタル機器から流れるような、フラットな周波数特性ではなく、あくまでラジカセの音質だ。

高い音がカットされたように聴こえるので、音の良いAMラジオみたいな雰囲気になる。

これが、まさにラジオの雰囲気であるともいえる。最高の音質を求めるなら、CDやネット配信等のデジタル音源を、デジタル機器で聴いたほうが、よいのは間違いない。一方でラジオは、生の放送を、生活の場でリアルタイムで聴くことに価値がある。そういう場には、ラジカセのような、適度な帯域幅の音が、よく合うのだ。

音質を調整するダイヤルがついていて、低音寄りから高音寄りまで調節できるようになっている。人の声を、好みの雰囲気にしたいときに、触ってみるとよいと思う。

ちなみに、音質のダイヤルを低音側に回しきったら、FMがAMのような音になってしまった。

FMラジオはステレオで聴くこともできる。FMをステレオに切り替えて試してみたが、電波が弱いせいか、ジージーと雑音が目立ち、よい音では聴けなかった。放送局から遠いのだろうか?モノラルに切り替えれば、よい音で聴けるのだが。

ずれないチューナーとアナログな音質の組み合わせ

ラジオの選局は、ダイヤル式だ。右に回すと周波数が上がり、左に回すと下がる。

選局ダイヤル

選局ダイヤル

周波数が数字で表示されたりはしないので、同調した局がどこかは、放送の内容を聴いて判断するしかない。

こんな、アナログ感しかないチューナーなのだが、実際には「デジタルチューナー」が内蔵されている。

「デジタルチューナー」は、AMで真価を発揮する。ダイヤルが少々ずれていても、自動的に周波数を調整して、ぴったりと同調するのだ。

ふつうのAMラジオでは、ダイヤルがずれていると、ガサガサとした高い音程のノイズが入りがちなのだけれども、それが全くない。ひたすら低音が強く出る。

ちなみに、同調ランプは、ダイヤルがしっかり合っている時しか点灯しない。ダイヤルをきちんと合わせておきたいときには、役に立つ機能だ。

同調の表示

同調の表示

ラジオの音質をまとめると

純粋に音楽を楽しむオーディオ機器というよりも、人の声や流行りの歌を聴く情報機器としてとらえたほうがよい機種だと思う。

ぴったりと同調でき、聞き疲れしにくそうな柔らかい音がするので、普段からラジオをつけたままで暮らすには、よい機種だと思う。

ぴったり同調するデジタルな性能を持ちつつも、あくまでアナログなラジカセの音質という組み合わせが新鮮だ。

カセットテープをいじる

ラジオの録音と再生

ラジカセというからには、テープレコーダーの機能がついている。

ヨドバシカメラでは、カセットテープを買わなかったので、家に帰りテープを探したが、全くなかった。なんてこった。

急遽、ヤマダ電機で60分の「maxell UR」を4本買ってきた。

4本入のカセットテープ

4本入のカセットテープ

maxell URの60分モデル

maxell URの60分モデル

ラジオを聴きながら、録音ボタンをガチャンと押すと、テープがぐるぐると回り始めた。それなりに重い押し心地だが、ワンタッチで、いきなり録音が始まるのが、シンプルでよい。

何分か待って止め、巻き戻す。シュルシュルと音を立てて、テープが巻き取られていく。録音しても、すぐには再生できないのがテープだ。

巻き戻しはテープの先頭で止まり、巻き戻しのボタンがガチャンと戻った。テープの最後まで巻いたときに、ボタンが自動的に戻って、モーターが止まる機能を「オートストップ」というらしい。

再生ボタンを押すと、数秒してから音が出た。すぐに音が出ないのは、カセットテープの先頭の部分には磁性体がついていないからだ。この部分は、録音しても音が残らない。

テープを再生した音質は、生で聞いたラジオと、違和感をそれほど感じない程度のしっかりしたものだ。

音量を上げれば、ガンガンと大きな音が出る。

いったん録音したテープを、何度か上書きして録音し直してみたが、きれいに録音し直すことができた。

ただし、デジタル機器ではないので、元のラジオの音質と、テープの音質は完全に同じではない。再生した音を聴いていると、気にすれば、若干ぼやけたような雰囲気を感じる。アナログ機器なのだから、元の音質と録音の音質が違っているのは当然のことなのだが、このところデジタル機器の音ばかり聴いていたので、音質が変わること自体が新鮮に思えてくる。

ちなみに、この機種には、テープの位置を示すカウンターがついていない。何秒巻き戻せば、音声が何秒戻るかは、人間の感覚に頼るしかない。このあたりは、ほんとうにアナログな性能だといえる。

内蔵マイクでの録音はいまいち

次は、ラジカセに内蔵されているマイクで録音をしてみた。

ラジオを切った状態で録音ボタンを押すと、本体上部に組み込まれたマイクで直接録音ができる。

マイクは1つしかついていないので、録音される音声はモノラルだ。ステレオラジカセだが、内蔵マイクでは、モノラルでしか録音ができないのだ。

音質は、いまどきのICレコーダーなどと比べると、あまりよいものではない。

録音できる周波数帯域が、AMラジオよりもわずかに広い程度で、高い音はほとんど記録できない。自分が、AMラジオのアナウンサーになったかのような気分になる。

また、テープの走行音がどうしてもノイズとして記録されてしまう。マイクには、周辺の雑音などもまんべんなく入ってしまう。

カセットテープ特有の、ヒスノイズも加わり、雑音の多い録音になってしまった。

このあたりは、デジタル機器とは別の世界だと割りきるしかない。

生のテープを入れておけば、ワンタッチで録音できるので、日常生活でボイスメモをとるくらいの使い道は、あるのかもしれない。

自分が子どもだった数十年前のラジカセも、きっとこんな感じだったと思う。

ちなみに、このラジカセに外部入力端子はない。CDやネット配信の音声を、テープに残すといった使い方はできない。テープへの録音機能は、ラジオや自分の声を、メモのように残す用途として割りきったほうがよいのかもしれない。

テープの音質をまとめると

ラジオを録音すると、それなりに違和感のない音質で記録できる。録音の操作は極めて簡単なので、気になる話題などを録音して、後で聴くには便利だと思う。

内蔵マイクでは、モノラルでしか録音できず、雑音の多い低い音しか記録できないので、ボイスメモ程度の用途にとどめておいたほうがよさそうだ。

イヤホン端子の帯域を調べてみた

せっかくなので、PC用のUSB音声インターフェースを使い、イヤホン端子から出てくる音声の周波数帯域を測ってみることにした。

USBの音声インターフェースは、計測機器ではないので、簡易的な評価しかできないが、参考にはなると思う。

AMラジオは、4kHz程度までの帯域

AMのNHKラジオ第一放送を受信し、音声をPCで周波数解析してみた。

規格上は、電波の帯域幅が15kHzなので、音声は7.5kHzまでは入っていても良さそうなのだが、4kHz程度を上限に、高い音がばっさりと切り捨てられていた。

AMラジオの周波数特性

AMラジオの周波数特性

放送の段階から、この程度の帯域なのか、ラジカセの中で高い音を切り捨てているかは、よく分からない。

ポケットラジオP-R130の音声を、解析してみた。4kHzを超えても信号が入っている。

AM専用ポケットラジオの周波数特性

AM専用ポケットラジオの周波数特性

この結果を見た限りでは、RX-FS27のAMチューナーは、低い音だけを出力する、特別なフィルタ処理を行っているようにも見える。

テープに録音したAMラジオ

NHKラジオ第一放送をテープに録音し、再生した音声の周波数を解析してみた。

AMラジオをテープに録音後再生した音声の周波数特性

AMラジオをテープに録音後再生した音声の周波数特性

4kHz程度までの音声に、若干ノイズが加わったような分布になっている。

FMラジオは、20kHz近くまで入っている

FMのNHK-FMに切り替えて、再び音声をPCで周波数解析してみた。

FMは、20kHz近くまで入っていた。放送の規格としては15kHz程度までなので、もっと高い音はノイズだったのかもしれない。

FMラジオの周波数特性

FMラジオの周波数特性

テープに録音したFMラジオ

民放の野球中継をテープに録音し、再生した音声の周波数を解析してみた。

FMラジオをテープに録音後再生した音声の周波数特性

FMラジオをテープに録音後再生した音声の周波数特性

14kHzくらいまでは、何かしら信号が残っている。テープレコーダー自体は、FMラジオの帯域よりは狭いが、AMラジオよりもかなり広い帯域を録音できるようだ。

テープに録音した環境音

カセットテープに自分の声を録音して、その周波数特性を観察してみた。

カセットテープに録音した自分の声の周波数特性

カセットテープに録音した自分の声の周波数特性

8kHzを超えると、ほとんど残らないようだ。それでも、AMラジオよりは、周波数帯域が広い。

まとめ

RX-FS27は、高域をカットした柔らかい音質だ。人の声が聞き取りやすく、聴き疲れしにくいので、普段からラジオをつけておくには、ちょうどよい機種といえる。今回の買い物で、落ち着いて長時間聴けるラジオがほしい、という目的を、果たすことができた。もう少し細かくまとめると、ラジカセ「RX-FS27」は、こんな機種だ。


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製作・著作:杉原 俊雄(すぎはら としお)
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