衆議院議員選挙(2017年) 比例代表 東京都選挙区 立憲民主党の政見放送テキスト

2017年10月15日


テレビで流れていた政見放送の内容を、テキストにしてみました。2017年10月に投開票の衆議院議員選挙で、比例代表(東京都選挙区)、「立憲民主党」の内容を収録しています。なお、政治の演説の著作権には制限があるため、このように公開しても問題ないらしいです。

N「東京都選挙区、立憲民主党の政見放送です。お話は、立憲民主党代表、枝野幸男さんと、立憲民主党幹事長の、福山哲郎さんです。」

枝野「立憲民主党代表の、枝野幸男です」

福山「幹事長の、福山哲郎です。今日は、まだ結党して間もない、枝野さんに来ていただきました。枝野さん、まずこの党の、結党の思いを、ぜひ、お聞かせください」

枝野「私は今、日本は、たいへんな危機の中にあると、思っています。立憲主義は破壊され、国民が分断されています。弱い立場にある人々の声が排斥され、社会の多様性が脅かされています。こうした政治の流れを、なんとか変えていくために、立憲民主党を結成しました。今までの、トップダウンの政治の流れを、ひとりひとりの暮らしの中、地域の中、現場の中から生まれてくる、国民のリアルな声に根ざした、ボトムアップ型の政治へと、変えていきたい。そんな思いです」

福山「わたくしは、その枝野さんの思いに、強く共鳴し、はせ、参じました。立憲民主党は、国民との約束という、5つの大きな約束を掲げています。ひとつめは、枝野さん、何でしょうか?」

枝野「なんと言ってもひとつ目は、国民の生活です。国民生活を、暮らしの現場から立て直す。そのことが、何よりも大事だと思っています」

福山「具体的には、どういったことでしょうか?」

枝野「日本経済が低迷しているのは、アベノミクスが格差を拡大し、国民の所得を削って、分厚いと言われていた中間層を、激減させてきたからです。活力ある経済を作るためには、やはり、国民の足元に、目をあてる必要があります。保育、教育、そして、医療、介護などの分野の、賃金を底上げする。女性に対する雇用や賃金の差別をなくす。あるいは、最低賃金の引き上げ、長時間労働の規制、しっかりやっていく。これらのことによって、国民のみなさんの可処分所得を増やし、消費へとつなげていきます。暮らしの現場から、経済を再生する。これが、わたしたちの考え方です」

福山「では、2019年の10月に、引き上げられる予定の、消費税については、どうお考えでしょうか?」

枝野「将来の負担をお願いすることから、逃げてはいけない。そう思っています。ただ、今の経済状況、そして、一方では法人税が引き下げられている。こんな中で、国民のみなさんに、一方的な負担をお願いすることは、できません」

福山「ふたつめに、進みます。枝野さんと私は、官房長官と副長官時代、あの東日本大震災に直面し、原発事故の対応に当たりました。被災地の皆様には、本当にご苦労をおかけしたと思っています。今回、枝野さんは、原発政策について、これまで以上に、踏み込まれたと思います。原発ゼロについては、どうお考えでしょうか?」

枝野「一日も早く原発ゼロを実現したい。これは、わたしの強い思いであり、責任です。今や、原発ゼロは、スローガンとして語る次元をとっくに過ぎていると思います。そのための技術革新や、再生可能エネルギーの普及も進んでいます。原発立地自治体の雇用問題や、使用済み核燃料の問題など、どういうプロセスで、どういう時期に実現できるのか。リアルな工程表とともに、一日も早い原発ゼロを実現します」

福山「みっつめは、社会の多様性を守るという約束です。枝野さんは長年、選択的夫婦別性、民法改正の提案者でいらっしゃいます。その思いも含めて、お願いします」

枝野「国会議員になってから24年間、選択的夫婦別性、この問題に取り組み、何度も提案者になってきましたが、いまだ実現できていません。ほかにも、今の日本には、ヘイトスピーチの問題、障害を抱えた方々への差別、LGBTの方々への差別、ジェンダー格差、本当にさまざまな点で多様性がおびやかされています。これは、正義の問題であると同時に、社会の活力の問題だと思っています。日本は既に成熟社会。画一的で、大量生産型の社会モデルから、個性や独創性をいかした社会モデルへと、移行してしていかなければなりません。正義の観点からも、日本の活力という観点からも、さまざまな差別を禁止し、多様性を守っていく。こうした姿勢が重要だ。私たちは、そう考えています」

福山「今年は、森友、加計学園の問題、防衛省の日報問題など、さまざまな情報隠ぺいや、記録の廃棄、明るみに出ました。よっつめの情報公開についても、お願いします」

枝野「情報公開は、民主主義の基本です。国民の知る権利をしっかりと守りたい。そして、森友、加計学園の問題も、これは税金の使われ方の問題なんですね。私たちは、森友、加計学園の問題に、怒りや、不満を持つ、国民のみなさんにとっての、しっかりとした、受け皿になるつもりです」

福山「いつつめは、私たちの政党の名前に由来する、立憲主義についてです。枝野さん、立憲主義というのは、どういった言葉でしょうか?」

枝野「憲法という、ルールにもとづいて、権力を使う。これを、立憲主義と呼ぶんですね。これは、近代社会、近代憲法の大原則なんですんが、これがおびやかされているということに、私は強い危機感を持っています」

福山「2年前、国会前に、10万人以上の国民のみなさんがお集まりになりました。あの、安保法制については、どうですか?」

枝野「安保法制は、明確に、憲法違反です。日本は長年、海外では戦争しない。集団的自衛権は認めないと、こういう解釈をしてきました。安保法制はそれを、世論の反対を押し切って、勝手に、しかも合理的な根拠なく変えてしまったんですね。これは、安全保障と平和の問題としても申告ですが、立憲主義の破壊そのものです。9条3項に自衛隊を明記すると、安倍総理は提案をしていますが、違憲の安保法制を追認することになり、こんな憲法改正は、とうてい、容認できるものではありません」

福山「とはいっても、一方で、北朝鮮問題もあって、日本の安全保障は大丈夫か、という声もあります」

枝野「日本の領土や領海を守る。これは、これまでも認められてきた、個別的自衛権の問題。個別的自衛権で十分に対応ができるんです。領域警備法を制定したり、憲法の枠内で周辺事態法を強化したり、これによって、日本の安全をしっかりと守っていきます」

福山「憲法改正については、この選挙の大きな争点です。いかがですか?」

枝野「基本的人権の尊重、あるいは民主主義、そして専守防衛。こうした原則を、進化させる、より深めていくために、議論をすることは、私は賛成です。例えば、総理大臣の解散権の制約、知る権利など、こうした憲法などの論議は、堂々と進めていきたいと考えています」

福山「では、結びに、枝野さん。国民のみなさんに、この選挙にのぞむ、メッセージをお願いします」

枝野「政治は、政治家のためでも、政党のためでもなく、国民のためにあるものです。今の政治に、怒りや危機感を持つ、多くの国民の声にこたえ、政治の流れを、転換させたい。この国に暮らす、多様なひとりひとりとの対話を通じて、誰もが、自分らしく生きられる社会を作りたい。その決意をもって、私たちは、立憲民主党を立ち上げました。国民のみなさんの日々の暮らし、現場のリアルな声に根ざしたボトムアップの政治を実現する。それが、わたしたちの描く、日本の未来です。右でも、左でもなく、前。まっとうな政治を取り戻す。わたしたちには、あなたの力が、必要です」

N「東京都選挙区、立憲民主党の、政見放送でした。」


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