@nifty with ドコモ光で、IPv6だけのネット接続を試す

2016年7月22日


「@nifty with ドコモ光」というインターネット接続サービスで、IPv6オンリーのインターネット接続を試した。IPv6は、一時的につながらなくなった時期もあるが、開通一週間後に、復活した。

IPv6オンリーで接続してみる

IPv6によるインターネットへの接続では、手持ちのルーターは単純なブリッジとして動作しているだけで、認証やアドレス変換などは行っていない。

ルーターを外して、パソコンを直接ドコモ光で貸し出されているONUに接続すれば、IPv6オンリーのインターネット接続にできる。パソコンに、PPPoEの設定は行わないので、IPv4ではインターネットにつながらない。IPv6の設定では、「IPv6を使う」という設定を必要に応じて行うだけでよく、ユーザ名やパスワードは不要だ。

接続の様子

IPv6オンリーでつながるサイト・つながらないサイト

IPv6オンリーだと、つながるサイトとつながらないサイトが出てくる。

つながるのは、海外系のITサービス会社や、通信会社が多い。

Google(Google検索、 Googleドライブ、 Googleマップ、 Google+等)やYoutube、Facebook、Wikipedia、 マイクロソフト社のホームページなどは、そのままつながった。

TwitterにIPv6でつながらなかったのは、残念だ。

Windows Updateや、Windows Defenderのアップデートは、IPv6だけでも使えるので、IPv6しか使えない環境でも、Windows 10はそこそこ安全に使えそうだ。

一方で、Ubuntuのアップデートサイトには、IPv6では接続できなかった。IPv6しか使えない環境では、OSによっては、セキュリティアップデートが入手できず、安全に運用できないことがあるので、十分気をつけたほうがよいだろう。

中央省庁にも、つながるところがある。総務省や首相官邸、厚生労働省には、接続できた。一方で、財務省にはつながらなかった。プロバイダの契約が、省庁毎にバラバラになっているのだろうか。縦割り行政を、こんなところにも見た気がする。

通信会社のホームページは、さすがによくつながる。NTT東日本やNTTドコモ、au、ソフトバンクには、そのままつながった。

KDDIのように、IPv6でつなぐとデザインが崩れるサイトもあった。一部のファイルがIPv6では入手できないような、おかしなサイトになっているのだろうか。悲しい。

プロバイダのホームページには、IPv6でつながるところと、そうでないところがある。Biglobeのサイトにはつながるが、niftyのサイトにはつながらない。OCNのサイトは、接続はできるがデザインが崩れた。

一方で、大手メディアや電機メーカーなどは、全くつながらなかった。大手メディアは、IPv6の世界までは情報を広める気がない、というよりは、IPv6でサーバを持つと、NGNまでしか行けないIPv6の環境を持つユーザで、つながりにくくなるから、配慮しているのかもしれない。

電機メーカーのサイトにIPv6でつながらないのは、斜陽産業となり、技術を牽引する役目を終えてしまったからだろうか。

自分が多用している「dアニメストア」には、IPv6ではつながらないようだ。トラフィックがひじょうに多いサービスなので、早く対応してほしい。

IPv6オンリーでの通信速度

IPv6だけで接続すると、一般のスピードテストのサイトにはつながらなかった。NTT東日本のサービス情報サイトで、NGN内の速度を計測したところ、450Mbpsだった。なお、パソコンとONUは有線LAN(1000Base-T)で接続した。

IPv6オンリーでの接続速度

ちなみに、以前計測した結果と違った値になっているのは、速度を測った日が異なるからだと思われる。ベストエフォートのサービスなので、計測する日や時間帯によって、混雑状況が変わってくるからだ。

IPv6オンリーでのAndroid端末

次に、無線LANルータをONUとPCの間につなぎ、無線LANルータを「アクセスポイントモード」(ルータとして機能させないモード)で動作させた。

この状態で、Android端末(ZenfoneGo;Android 5.1.1)を起動した。

ところが、IPアドレスを取得できないというエラーが発生して、接続状態にならなかった。

IPv6アドレスを取得するだけではだめで、IPv4のアドレスをDHCPで取得できないと、ネットにつながったことにならないようだ。

ブラウザなどを起動してみたが、どこにも接続できなかった。

IPv6オンリーでのChromecast

IPv6オンリーの環境で、Chromecastを起動すると、残念ながらインターネットにアクセスできなくなってしまう。

IPv6だけの環境では、Chromecastも利用できないようだ。

IPv4オンリーで接続してみる

ブロードバンドルータをルーターモードに戻し、PPPoE(IPv4用)の設定を行い、IPv4で通信できるようにした。さらに、ルーターでIPv6のパケットを通過させないように設定すると、ルーターの下流では、IPv4だけでインターネットに接続する環境となる。

IPv4オンリーにするためのルーターの設定

この設定では、パソコンがもらえるIPアドレスは、ルーターが作り出したIPv4のプライベートアドレスだけだ。

パソコンに設定されたIPv4のプライベートアドレス

この接続で、googleのIPv6接続を確認するサイトを見ると、以下のように表示された。

Googleでの判定結果

IPv4のネットワークにしかつながっていないが、IPv6とIPv4の両方に対応したホームページなら見られる、という程度の意味らしい。

ちなみに、NGNの内部で、IPv6でしかつながらないサイト(http://flets-east.jp)には、つながらなくなってしまった。

NGN内部のIPv6専用サイトにはつながらない

IPv4だけ使う場合の接続速度

IPv4だけを使う設定で、インターネットの接続速度を調べてみた。パソコンとルータ、ルータとONUはそれぞれ、有線LAN(1000Base-T)で接続した。

下りは約320Mbps、上りは約182Mbpsで、かなり速い。

下りは約320Mbps

上りは約182Mbps

普段はIPv6とIPv4が両方とも有効にしておく

ブロードバンドルータに、IPv4用にPPPoEの設定を行い、IPv6のパケットはブリッジ(パススルー)するように設定するのが、ごくふつうの使い方と思われるので、そのように設定した無線LANルータをONUに接続し、PCとAndroid端末を接続して、さらに様子を見た。(実は、最初にインターネットにつながったときの設定が、この設定だった。)

この状態では、PCには、IPv4とIPv6のアドレスが両方とも割り当てられた。

Webブラウザでホームページにアクセスするときは、まず、IPv6でつながるのであればIPv6で接続し、そうでない場合に限りIPv4を使うようだ。

接続の状態をnetstatなどで調べてみると、IPv6による接続とIPv4による接続が、混ざっている。

DNSサーバは、ホスト名を渡せばIPv6とIPv4の両方のアドレスを渡してくれるので、このような使い方をしても、とくに問題は起こらない様子だ。

従って、適当に使っていれば、IPv6で使えるサイトから、IPv6へ移行していくように仕向けられているようだ。

IPv6,IPv4混在ならAndroidはIPv6でも通信可能

Androidのスマホ(Zenfone Go;Android 5.1.1)が手元にあるが、無線LAN経由でつないでみたところ、IPv6で接続可能なサイトでは、IPv6を使っている旨の表示が出た。

Androidは、今どきのLinuxカーネルを使っているので、IPv6への対応そのものは、できているようだ。ただし、IPv4でつながっていないと、インターネット接続がないとみなされてしまう、大きな問題を抱えている。

IPv6,IPv4混在ならChromecastも動作する

IPv6,IPv4混在環境では、Chromecastも正常に動作した。ただし、ChromecastがIPv6として通信を行っているかは、見た限りでは分からなかった。

ちなみに、複数の端末(PCやAndroid端末)をIPv6で接続すると、それぞれにグローバルなIPv6アドレスが設定される。

パソコン単独でも、有線LANと無線LANを両方使ってルータにつなぐと、有線LANと無線LANそれぞれで、異なるグローバルなIPv6アドレスが設定されたりする。

64ビットのプレフィクスとしてIPv6のアドレスが通知されているのであれば、MACアドレスが異なる機器をつなぐのであれば、いくつつないでも、有効なグローバルのIPv6のアドレスとして振る舞うと考えられる。

契約上は、とくに接続できる台数の制限はないようなので、今のところ問題はなさそうだ。

IPv4では、1つのグローバルIPアドレスをルーターで変換して、複数の端末で分け合う必要があるため、インターネット側から端末に接続するためには、面倒な設定が必要だが、IPv6は素直に各端末がグローバルなアドレスを持てるので、インターネットと相互につなぎやすいという面では、優れていると思う。

これからは、IoTの時代で、何でもネットにつなぎまくりたくなるだろうけれど、その全てがグローバルなIPv6アドレスを持てると思うと、わくわくしてくる。

ところが、開通3日めくらいに、IPv6のインターネットが突然つながらなくなってしまった。詳細は、「次のページ」に記載している。


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