Windows 7をWindows 10に変えた--使い勝手がLinuxに近づいた

2015年8月6日


Windows 7がプレインストールされていた5年前のノートパソコンにWindows 10を入れてみた。とくに何も変わらない。しかし、これってすごいことなのかも。

DVDのISOを手に入れた

Windows 7がプリインストールされている家庭向けのノートパソコンはたいてい、Windows 10への無料アップグレードの対象になっている。

パソコンは、アプリケーションを使うための道具なのだから、OSを入れ替えて何がうれしいんだろうと思うかもしれないが、パソコンを電子玩具と考えるなら、OSの入れ替えは楽しいイベントでもある。

さっそくダウンロードを試みた。

Windows 7が入っているパソコンは、インターネットにつないでおけば、Windows 10をインストールするためのソフトが自動的にインストールされる。このソフトが入っていると、画面右下に、白いWindowsマークが表示される。このマークをクリックすれば、Windows 10へのアップデートを予約できる。

ところがこの方法だと、すぐにはダウンロードが終わらない。普段通りパソコンを使いながら、裏で少しずつWindows 10をダウンロードする仕組みになっているので、それなりに日数がかかることもあるらしい。

せっかちな人のためなのか何なのか、公式サイトでは、好きなタイミングでインストールできるWindows 10のダウンロードツールが公開されている。

これを直接ダウンロードすれば、今すぐにでも手動でOSをWindows 10にアップデートできる。

このサイトへ行けば、ツールのダウンロードが可能だ。http://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10

ちなみに、UbuntuなどのLinuxディストリビューションから、上記のページにアクセスすると、ツールではなく、Windows 10のDVDのイメージを直接ダウンロードできる。他社のOSを使っている人を拒まない様子からは、マイクロソフトが本気でWindows 10を売ろうとしていることが分かるような気がする。

Ubuntuとのデュアルブート環境でWindows 10にアップグレードする

手持ちのパソコンは、当初はWindows 7 Home Premiumuの単独インストールになっていたが、アップグレードによりWindows 7とLinux (Ubuntu 14.04 LTS)が同居する「デュアルブート環境」になっていた。

デュアルブート環境では、パソコンの電源を入れた直後に、画面いっぱいに選択メニューが表示され、LinuxかWindowsの一方を選んで起動するようになっている。バーチャルマシーンではなく、生でLinuxかWindowsの一方が起動するので、パフォーマンスは快適だ。

このような環境で、Windows 7をWindows 10にアップグレードしてみた。

アップグレードは、Windows 10のDVDイメージを、DVD-Rに焼き込んで行った。

用意したWindows 10のDVD-Rを、Windows 7が起動したパソコンに挿入して、セットアップを起動すると、あとはふつうにインストーラが起動する。

デュアルブートだからといってとくに何もなく、インストール自体はふつうにできた。

LinuxとWindowsを起動時に切り換えるための「GRUB」は、Windows 10へアップグレードしても変化しない。従って、Windows 10をインストールする途中に再起動がかかると、毎回WindowsかLinuxを選ぶ画面が出る。ここでWindowsを選べばインストールを続けられるが、Linuxを選んでしまうと、Linuxが不意に起動したりする。間違ってLinuxを選んでも、再起動させて次回の起動でWindowsを選んで起動すれば、そのままインストールを続けられる。

Windows 10のインストールが完了すると、そのままWindows 10とLinuxのデュアルブート環境ができあがってきた。

起動時のメニューに表示されるOSの名前が「Windows 7」のままだが、選択すればWindows 10が起動する。

ちなみに、インストールに2時間以上かかった。思いのほか遅かった。また、Windowsをアップグレードするときに、デュアルブート環境が維持されることは、保証されているわけではないと思う。最悪の場合、インストールされていたOSが全部消えてしまう可能性もあるかもしれないので、注意されたい。

LinuxみたいになったWindows 10

Windows 10は、単なるWindowsだ。

WordやExcelなどの、マイクロソフトのアプリケーションだけでなく、一太郎やGoogle Chrome、Firefoxといったアプリケーションや、Terapadみたいなちょっとしたフリーソフトも、Windows 7のときと変わらずそのまま使える。

従って、単にこれまでどおりアプリケーションを使いたいだけなら、Windowsのバージョンがどうこうといったことは、どうでもよいことに思える。

PCメーカーが標準で付けていたDVD再生ソフトは、Windows 10では動作しなくなってしまった。そのことを察知してかは知らないが、Windows DVD Playerという、簡易的なDVD再生ソフトが自動的にインストールされた。市販のDVDは、なんとか引き続き再生できることが分かった。この「Windows DVD Player」は、Windows 7からアップグレードした場合のみインストールされるという、うわさがある。

Windows 10は、Windows 7よりも起動が若干遅くなっている感じがする。Windows 10は、いったん起動してしまえば、なんやかんやで落ち着いて動き続ける様子だ。OSのセキュリティーアップデートなどの作業が、ほぼ自動的に行われる様子なので、面倒が少なくていいのかもしれない。

Windows 7をWindows 10に変えて若干変化したのが、「仮想デスクトップ」という機能が加わったことだ。パソコンの画面を仮想的に複数持つことができて、素早く切り換えて使えるので、たくさんウィンドウを開いて作業をするときに重宝する。

操作は、以下のようにする。

慣れてくると、複数の画面を素早く切り換えられるので、ウインドウをたくさん開いても整然と作業ができて、気持ちがよい。

ただし、この「仮想デスクトップ」の機能は、今に始まったものではない。

ライバルのLinuxでは、少なくとも10年以上前からあった機能だ。

Windowsでも、仮想デスクトップのフリーソフトは、以前からたくさんあった。

これまで使いにくかったWindowsの使い勝手が、先進的なLinuxに若干近づいただけというのが、正しいところなのかもしれない。

Windows 10をLinuxと比べてみる

今ではWindowsでもLinuxでも、主要なアプリケーションは使えるようになっている。

インストールしたばかりのWindows 10(64bit版)と、Ubuntu 14.04 LTS (64bit版)を、少々比べてみた。

用意したのは、Androidの開発環境であるAndroid Studioと、ブラウザのGoogle Chrome。ブラウザでAPIを調べながら、Android Studioでタブレットのアプリを開発し、Androidの仮想マシンを1台立ち上げてデバッグすることを想定した。開発環境、ブラウザ、Androidの仮想マシンを開いて、"Hello, world."を開発しながら様子を見た。

Windows 10 (64bit)では、Core i3-350Mという古いプロセッサーでありながら、CPUパワーは1割程度使えば十分な様子だ。一方で、4GB搭載したRAMは、8割以上を使い込んでしまった。なにかと、HDDのアクセスがひっきりなしに続くのが気になった。

Ubuntu 14.04 (LTS)(64bit)では、CPUパワーは、コア1つ分を完全に使い切ってしまった。一方で、メモリはあと1GB少々余裕が残っている。排気口からの熱風が、それなりに気になった。

Androidの仮想マシンを立ち上げながら、本格的な開発を行うためには、2コアのCore i3と4GBのメモリでは、力不足なのかもしれない。4コア程度のCPUと、8GB程度のRAMを搭載したデスクトップとかを使えば、OSがどちらであれ、今どきのPCとして快適なのかもしれない。

ちなみに、Linux (Ubuntu)のほうが、Windows 10よりも、起動に必要な時間は短かった。Windows 10が2~3分を要するなら、Linux (Ubuntu)は1分程度で起動する。使いたいアプリに応じて、どちらのOSを使うかは適材適所で、ということになりそうだ。

まとめ


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